経済産業省資源エネルギー庁は23日、愛媛県松山市久米窪田町のテクノプラザ愛媛で原子力政策に関する自治体対象の説明会を開いた。エネ庁は、参加自治体を明らかにせず、愛媛新聞の調べで県内20市町のうち、少なくとも19市町が出席。四国電力伊方原発など全国の原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地について、国が年内に示す「科学的有望地」が全国に広く存在する可能性などが説明された。
 上島町消防本部は「本部と町住民課の職員は出席していない」としている。
 エネ庁などが5月から全国9都市で開いている地層処分に関する一般対象のシンポジウムに合わせ全国で順次開催している。
 2015年6月の自治体向け説明会は非公開だったが今回は公開。ただエネ庁は「来ていただいた方にしっかり説明する」などとし「9割出席した」との公表にとどめた。
 説明会でエネ庁の担当者は、科学的有望地について火山や活断層の近くなどを避けるとする一方、「明らかに地層処分に適さない場所が国土の大勢を占めるわけではない」とし、「少なくとも調査してみる価値がある地域は全国に広く存在することが示される」との見通しに言及した。
 その上で「科学的有望地の提示と調査受け入れのお願いは全く別の話」と強調。「提示によって地層処分に関する国民の理解が深まるよう期待する」と述べ、国民や地域住民との対話を重ねるとした。
 東日本大震災後、火力発電のたき増しによる電気料金の引き上げや温室効果ガスの排出量が増えている点などを挙げ、安定供給や経済効率性などの観点から原発依存度を30年に20~22%とする国のエネルギー需給見通しについて理解を求めた。